除草剤は葉にかけて枯らすものと思っていましたが、他にも色々な特徴をもつ除草剤があり、うまく使うと庭の手入れや空地の管理がとても楽になります。
除草剤にはたくさん種類があるので、何を選んだらよいか迷いますよね。
毎年の草取りの経験から、除草剤の選び方と上手な使い方をご紹介します。
住宅まわりや庭に生えた雑草に使う除草剤
冬の終わりに土壌処理剤を撒いて雑草の芽出しを抑え、それでも生えてきた雑草は茎葉処理剤で枯らすようにすると、枯れた雑草が目に入ることが少なくなるし、暑い時期の作業を軽くできるのでおすすめです。
成長した雑草
伸びた雑草には、葉や茎に「茎葉処理剤」を直接かけて枯らします。
葉や茎にかかった成分は植物の体内で運ばれて、成長点の活動を止めて、ゆっくり根まで枯らします。(吸収移行型とよばれます)
また雑草を枯らした後、新たな雑草の発芽を抑える「茎葉兼土壌処理剤」もあります。
茎葉処理剤の多くは液状ですが、水に溶かして用いる粉状や粒状(顆粒状)のものもあります。
ラウンドアップマックスロードAL 茎葉処理剤
他にネコソギロングシャワーV9、サンフーロンなど
ラウンドアップマックスロードALⅢ 茎葉兼土壌処理剤
他にネコソギWクイック微粒剤、カダン除草王オールキラー粒剤など
芽を出す前・芽を出した直後の雑草
「土壌処理剤」を土の表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後の芽を枯らします。
粒の形状をしていた製品が多く、粒のまま撒きます。
カソロン粒剤 土壌処理剤
他にクサノンEX粒剤、コンボラル粒剤など
「茎葉兼土壌処理剤」より持続期間が長いのが特長です。
芝生に生えた雑草
シバを傷めない選択性の茎葉処理剤を使用します。
和芝用、西洋芝用があるので、必ず表示を確認して使用します。
MCPソーダ塩
他にシバキープエース液剤、シバニードシャワー、MCPP液剤など
ゼニゴケ
ゼニゴケは除草剤では枯らせません。
ゼニゴケ専用の除草剤か食酢を薄めて散布します。
スギナ
茎が細く地下茎が発達したスギナの除去には土壌処理剤のカソロン粒剤がよく使われます。
スギナは酸性土壌を好むので、強いアルカリ性の石灰を撒くと、だんだん生えなくなります。
カソロン粒剤 土壌処理剤
効果を引き出す使用法
茎葉処理剤(液剤):希釈倍率を守る
茎葉処理剤の成分は、植物の生きた組織を通って移動します。
光合成によってつくられる糖と同じように植物の体内を移動して、成長点の活動を止めて、植物はやがて枯れます。高濃度で除草剤を散布すると茎や葉が早く刈れてしまい、体内での薬剤の移動がうまくいかなくなります。
正しい希釈倍率でつくることが大切です。
希釈倍率 | 水量 | 薬剤 |
---|---|---|
500倍 | 1L | 2mL |
100倍 | 1L | 10mL |
50倍 | 1L | 20mL |
25倍 | 1L | 40mL |
土壌処理剤(粒剤):均一に散布する
土壌処理剤を散布すると成分が土壌に吸着されて「処理層」と呼ばれる膜ができます。
一年生雑草の多くは土壌の表層で発芽します。
発芽しはじめの芽や根が処理層を通るときに薬剤を吸収して枯れます。
散布する際のポイントは次の3つです。
・雑草発生後は効果が落ちるので、必ず発芽前に散布すること。
・まんべんなく処理層をつくるため、土壌表面に凸凹がないように平らにすること。
・土壌水分が多いほうが処理層がうまくできるので、土が適度に湿った状態で散布すること。
散粒器などを使って撒きムラができないよう均一に散布することが大切です。
生えてくる雑草を減らすことができる土壌処理剤を使う価値は十分あります。
ただ、冬から春は雨が少なく土壌が乾燥していることが多いので、タイミングを見計らって撒く必要があるところが使う上でのデメリットです。
<参考>
*1.『今さら聞けない 除草剤の話 きほんのき』農文協、2021年
**2.神津博監『かんたん!らくらく!草取りのコツ』ナツメ社、2023年