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秋田県美で藤田嗣治に魅了され、水面がきらめくカフェでくつろぐ旅(秋田)

秋田県美で藤田嗣治に魅了され、水面がきらめくカフェでくつろぐ旅(秋田)


藤田嗣治ふじたつぐはるの作品が観たくて、秋田県立美術館に行ってきました。

DIC川村記念美術館で藤田嗣治の《アンナ・ド・ノアイユの肖像》を観て、「あぁいいなあ」と思ったんですよね。それまでも藤田の作品は観ていたと思うのですが、興味をもったのはつい最近です。

秋田県立美術館-「水庭」が見えるカフェでお茶を飲む

秋田県立美術館は時間に余裕をもっていくのが吉です。
なぜなら、ミュージアムラウンジでまったりしたいから。

秋田県立美術館(秋田)

自然光が入るエントランスホールから螺旋階段を上って2階へ。安藤忠雄さんらしいかっこいい玄関です。
展示室に入る前と帰りにミュージアムラウンジを通りますので、ちょっと腰かけて心を落ち着かせてから作品を観てもよいですし、帰りにここで休んでもよい、そんな動線になっています。

ラウンジにはカフェ、ミュージアムショップ、ライブラリーの機能が集められていて、カタログ(図録)やポストカード、秋田のクラフトがここで買えます。

ラウンジはそんなに広くないので、席が空いていないこともありそうです。
ちょっと待てるくらいの余裕をもって行く!で決まりです。

ミュージアムラウンジは美術館向かいにある千秋公園が見える位置に設けられています。千秋公園は秋田藩の居城、久保田城があったところで、お堀がいまも残されています。

ラウンジから外を見ると、この千秋公園のお堀と連なるように、さざ波がたつ水面がみえます。「水庭」と名づけられた、この美術館ならでは眺望です。

秋田県立美術館(秋田)

藤田作品だけを展示する「大壁画ギャラリー」があり、この美術館の核となる巨大な作品《秋田の行事》が展示されています。

作品の前に立ったとき、巨大すぎて何が描かれているのかうまくピントがあわない感じだったのですが、3階に《秋田の行事》を鑑賞できるスロープが設けてあり、そこからながめることで、はじめて全体がつかめました。旧羽州街道の橋(香炉木橋)を境にして秋田の日常と祭りが描かれ、1930年代の秋田の冬の風情が伝わってきます。

《秋田の行事》以外にも9点の絵画と建築模型2点が展示されています。絵画は展示替えされるようですが、もう少したっぷり藤田作品を観たかったかな。企画展も藤田だと藤田づくしになるんだと思いますが…。

あまり広くない美術館ですが、よく考えられた無駄のない動線で、作品も観やすくて、ストレスなくまわれるよい美術館だと思いました。

秋田県立美術館(秋田)

企画展の会期中は休まず開館している、月曜休館ではない美術館です。
週末とからめて秋田に行きたい人にはとても便利!

ざっくり藤田嗣治-藤田嗣治ってだれ?

アオ
アオ

藤田嗣治ふじたつぐはる
秋田とのつながりをざっくりまとめたよ。

Q
藤田嗣治はどんな画家なの?
A

20世紀のフランスで最も成功した日本人画家です。

ピカソとマティスがリードしたエコール・ド・パリ(パリ派)の画家の一人で、神秘的な「乳白色の肌」の女性を描いて、大きな人気を獲得しました。

印象派の画家に大きな影響をあたえた「浮世絵」ですが、藤田が渡仏した時期(1914年~)にもその人気は健在でした。

藤田は浮世絵に描かれた肌の質感に着目し、絵の具にシッカロール(ベビーパウダー)を混ぜて、ほの明るく浮かび上がる「乳白色の肌」を生みだします。

日本画の面相筆を使って描かれる細く繊細な線も藤田の大きな特徴で、身体や眉毛や鼻の輪郭を繊細な線で描くことで、モデルの姿を浮かび上がらせます。

藤田の美人画はパリで熱狂的に受け入れられ、人気画家になりました。

藤田は女性や少女をたくさん描きましたが、それと同じくらいにたくさんの猫を描いた「猫の画家」でもあります。1930年には『猫の本』を出版するくらい猫を愛しました。

『猫と藤田嗣治』や『藤田嗣治 安東コレクションの輝き』を読むと、藤田のこと、藤田の猫愛がよくわかります!この2冊はビジュアルも多く、絵本のようにも楽しめます。

Q
なぜ藤田嗣治の作品が秋田にあるの?
A

秋田の資産家・平野政吉が藤田嗣治の支援者(パトロン)だったからです。

藤田の作品に惹きつけられた平野は秋田に美術館を建設する構想をもっていました。

1936年(昭和11)に藤田の妻マドレーヌが亡くなった際、平野はマドレーヌ鎮魂のための美術館を秋田に建設することを提案し、美術館に展示する壁画を藤田に注文します。このとき制作されたのが《秋田の行事》です。太平洋戦争によって美術館の建設が中止されます。

《秋田の行事》は平野家に保管され、秋田県立美術館に平野政吉コレクションの展示室が設けられたのを機に、制作から30年を経た1967年(昭和42)公開されました。

秋田県美チカク

秋田県立美術館から歩いて10分くらいの範囲にあるので、美術館の前後に行けます。

@4の3(アットヨンノサン)の秋田犬ステーション

秋田県美津美術館の向かいの@4の3(アットヨンノサン)には、秋田犬と写真が撮れる秋田犬ステーションやJA秋田の直売所あぐりんなかいちや秋田のクラフトやお菓子などを扱う店があります。秋田犬に会えるのは曜日と時間が限られていて、私が行ったときは閉まっていました。残念。

稲庭うどん

秋田というと稲庭うどんが食べたいわけですが、@4の3にある稲庭うどんの寛文五年堂には昼どき行列ができていましたよ。
王道の佐藤養助は、秋田駅から美術館に向かう道すじにある西武秋田店の地下にあります。

ヤマキウ南倉庫のあたり

秋田県立美術館から徒歩で10分くらいのところにあるヤマキウ南倉庫のあたりも面白いです。
古い倉庫をリノベした空間に地元の食材を扱うマルシェ、アウトドアショップやフラワーショップなど小さいけどおもしろい店が入っています。近くにはカフェやレストランもあるので、夕方から夜に行くにも最適なエリアです。

ヤマキウ南倉庫(秋田)

ヤマキウ南倉庫に行く途中、Cafe 赤居文庫に立ち寄るのもいいですね。店名に添えられた「本と珈琲とインクの匂い」という言葉にそそられます。

秋田に行く(東京からのアクセス)

秋田新幹線の車両はコンパクトで、座席は2列シート(AB席2人掛け・CD席2人掛け)です。

  1. 東京駅→秋田新幹線→秋田駅[約4時間]
  2. 羽田空港→飛行機(JAL・ANA)→秋田空港→バス→秋田駅[約2時間]
  3. 新宿駅→高速バス(秋田中央交通)→秋田駅[8時間30分~]

春夏は庭と畑で雑草に追われる日々。
その合間をぬって日帰りか一泊くらいの鉄道旅。

グラウンドカバーにクラピアを育て、畑は小さな家庭菜園。
一人で快適に暮らす方法なんかも考えています。
自己紹介

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<参考>
*1.ナカムラクニオ著『洋画家の美術史』光文社、2021年
*2.内呂博之・浦島茂世・荒堀みのり『猫と藤田嗣治』エクスナレッジ、2019年
*3.軽井沢安東美術館編『藤田嗣治 安東コレクションの輝き』世界文化社、2022年

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