ダウンチュウ(dancyu)やブルータス(BRUTUS)など、ガイドブック以外でも黒磯の街や店を紹介する記事を目にすることが増えました。黒磯は那須高原の帰りに立ち寄るところではなく、わざわざ行く街になっているみたいですね。
私は黒磯から数駅のところに住んでいるので、旅行というほどでもありませんが、久しぶりに黒磯に行って、ぶらぶらと街歩きを楽しんできました。
散歩するのにちょうどいい街
黒磯で人気のお店は、黒磯駅西口を背にしてL字の2つの通り沿いにほぼ集約されます。
この通りをぶらぶらするのが、黒磯のおすすめの楽しみ方です。
- 黒磯駅西口正面にあるKANEL BREAD を経由して1988 CAFÉ SHOZO(SHOZO黒磯本店)までの道沿い(L字の|)SHOZO通り+黒磯駅前
- 黒磯駅を背にして右手の線路沿い、「萬」吉田商店から黒磯ブロイラーまでの道沿い(L字の-)
1.の端にあるCAFÉ SHOZOから2.の端にある黒磯ブロイラーまで寄り道しなければ20分くらいで歩ける距離です。車も少ないですし、歩きやすい街です。
黒磯を歩く-SHOZO通りと黒磯駅前を歩く
今日はCAFÉ SHOZOから黒磯の街を歩きます。
CAFÉ SHOZOは開業から35年が過ぎたいまも多くの人が訪れる黒磯の代名詞ともいえるカフェですが、いつ訪れてもゆっくり過ごしたくなる居心地のよさを感じます。
店主の菊地省三さんは、かつて雑誌の取材にこう答えています。
「始めたころはお金がなくて、あちこちから集めてきたから」椅子もテーブルもバラバラ。ただ、意識していたのは、「隅っこをつくること」だったそう。「隅っこは落ち着くから。ほかのこともそうですが、まず、自分はどうしたら気持ちいいかを考えるんです」。
趣味どきっ!「家で楽しむ私のカフェスタイル」NHK出版、2017年10月
この店に来ると腰を落ち着けて本が読みたくなったり、なにもしないぼーっとした時間を過ごしたくなったりするのは、この「隅っこ」のせいなんだと強く納得しました。
店内のところどころに小さな照明が灯り、明るすぎず本当に落ち着きます。
カフェの左右や裏手にはギャラリーや菓子工房などいろんな店ができて、“SHOZO界隈”といってよいほどです。
CAFÉ SHOZO の隣にあるのがChus(チャウス)。
1階の直売スペースでは、地元産の野菜や加工品が買えます。那須にあるチーズ工房や牧場から名物チーズが入荷するので、お土産にも便利です。(那須といえば乳製品ですから)
以前はSHOZO ROOMSといっていた古家具と古道具の店ROOMSもこの通りにあります。
ジャンクではあるけれど、品を感じさせる家具や道具が並んでいます。
黒磯は芦野石の産地に近く、大正5年(1916)に建てられたカフェ・ド・グランボワなど、いまも街のところどころに石造りの建物や蔵が残っています。
建築家隈研吾さんによる石の美術館、那須歴史探訪館があるところが芦野です。
黒磯駅正面にあるKANEL BREADも「食糧倉庫だった石蔵を改装」*1したのだそう。
KANEL BREADにはカレーパンやドーナツ、アンパンといったおなじみのものから、バゲットやカンパーニュなどハード系まで幅広いパンが並んでいます。どれもおいしいけど、私は秋冬に並ぶ蓮根がのったフォカッチャがいちばん好きです。
KANEL BREADのパンは隣のIris BREAD&COFFEEで食べることができます。
黒磯を歩く-線路沿いの道を歩く
黒磯駅から線路沿いの道に「萬」吉田商店、タミゼ テーブル(tamiser table)と家具や生活用品など生活に根ざした道具の店が並びます。
鍋や茶器など食を中心にした品ぞろえのタミゼ テーブルは「『大草原の小さな家』のオルソン商店をイメージ。」*2したのだそう。
種々雑多でありながら店主の目を感じさせる生活用品が並びます。
その先に天然酵母のパンRakudaがあります。外はひっそりしているのに、くぐり戸を開けて中に入るとお客さんがいっぱいでびっくりすることがあります。
訪れたときはCLOSEでしたが、石塀に囲まれた民家の片隅に店があります。
この道のさらに先にあるのが、錆びた看板がいい雰囲気の黒磯ブロイラー。
二代目が揚げるしょう油味のカラアゲと手羽ローストは、黒磯に行くとつい食べたくなる味です。
ということで、無事にカラアゲを買って、私の小鉄旅は終了です。
駅前の那須塩原市図書館にカフェ、モリコーネがあります。電車までに時間があるときに便利です。
黒磯から足をのばす
隈研吾さん「石の美術館」がある芦野に行く
黒磯駅の2つ先、黒田原駅からバスに乗り継ぎます。
黒磯に行く(東京からのアクセス)
黒磯は関東平野の北東にあり、東北新幹線が止まる那須塩原駅の隣の駅です。
- 東京駅→東北新幹線→那須塩原駅(乗り換え)→JR宇都宮線→黒磯駅[約1時間20分]
- 東京駅→JR宇都宮線・湘南新宿ライン→宇都宮駅(乗り換え)→JR宇都宮線→黒磯駅[約3時間]
湘南新宿ラインにはグリーン車がある※ので、のんびり帰るのもよいものです。※宇都宮から黒磯間の車両にはグリーン車はありません。
*1.dancyu「ちょうどいい旅」プレジデント社、2023年5月号
*2.BRUTUS「信頼できる店の探しかた」マガジンハウス、2023年4月15日