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石の魅力に気づく石尽くしの旅(芦野・那須)

石の魅力に気づく石尽くしの旅(芦野・那須)

黒磯から少し北にある芦野に行ってきました。

高原リゾート那須とは正反対の雰囲気をもつ、那須町の芦野(あしの)で隈研吾さんの建築を見てきました。芦野は黒磯(くろいそ)よりさらにローカル色が濃いところですが、山間の田園にカフェがあることを知り、石の美術館那須歴史探訪館をめぐり、喫茶新川屋でお茶をすることにしました。

芦野(あしの)?

芦野は奥州街道(奥州道中)の宿場町だったところです。
隈研吾さんは芦野の印象をこのように語っています。その率直な言い方に笑ってしまいますが、かなり的確に芦野を表していると思います。

同じ那須町でも、芦野はリゾートのイメージとはかけ離れた、うらぶれたさみしい宿場町でした。松尾芭蕉の「奥の細道」の舞台としても知られる旧奥州街道に、芦野という宿場があったそうで、(中略)チャラチャラとしたリゾートよりは、だいぶ好感がもてて、一目で好きになりました。」*1

その古い宿場町で隈研吾さんが2つの仕事をしています。

石の美術館-石・石・石・石ばかり

石の美術館は『建築家、走る』に「石を使い尽くす」*2と書かれた、飽きるほどに石ばかりの場所です。

東京世田谷で1991年に完成した作品が批判され、バブル崩壊とともに東京での仕事をなくした隈さんは地方での仕事に活路を見いだします。石の美術館もこの時期の仕事で、これらによって「材料の本当の面白さに気が付いた」*2と語っています。

芦野で石材業を営んでいる白井伸雄さんが、あるとき二束三文で売りに出されていた古い石蔵を衝動買いしてしまい、そこを芦野石の美術館にできないか、と思いついてぼくのところに相談に来たわけです。」*2

石の美術館(芦野・栃木)

個人の衝動買いを発端とした生まれ美術館は、住宅に囲まれた小さな土地のうえに建っています。画文家の宮沢洋さんは、周囲の雑音(ノイズ)を遮断しない塀の低さが良かった。「隣の民家の屋根が頭を出し、輪郭がつながって見える!」*3と述べています。

なるほど、こんな見方もあるんですね。
塀が低いため周囲の景色から切り取られたような印象がなく、建物のうえには大きな空が広がっています。

石の美術館(芦野・栃木)

「薄く切った石を積み上げ(中略)石の間に空気が通る空間を軽やかに開けていく」石格子や「窓ガラスの代わりに、捨ててあった白い大理石を6ミリの薄さに切って填め込む手法」*2で造られた空間は、灰色の石と水だけなのに不思議と軽やか印象があります。

石の美術館(芦野・栃木)

石格子の室内には格子の隙間から光が差し込み、鳥の鳴き声が聞こえます。予算がかけられないから石だけで造るという逆境から生まれたアイデアが、ここだけにしかない空間を生み出しています。

石の美術館(芦野・栃木)

茶室の柱です。芦野のすぐそばにある白河で採れた白河石が使われています。高温で焼くと色が変化する白河石の特性が生かされています。

続いて那須歴史探訪館を見て、トレッキング気分で喫茶新川まで歩き、お茶にしようと思います。

芦野に行く(東京からのアクセス)

芦野は関東平野の北東にあり、黒磯駅で乗り換えて2駅先の黒田原が最寄り駅ですが、JR東北本線もバスも本数が少ないので、車・タクシーが圧倒的に便利です。言い換えると芦野は交通の便が圧倒的に悪いです。

  1. 東京駅→東北新幹線→那須塩原駅(乗り換え)→JR宇都宮線→黒磯駅(乗り換え)→JR東北本線→黒田原駅[約1時間30分]
  2. 東京駅→JR宇都宮線・湘南新宿ライン→宇都宮駅(乗り換え)→JR宇都宮線→黒磯駅(乗り換え)→黒田原駅[約3時間10分]

黒磯駅で乗り継ぎは、待ち時間が長くかかることがあります。
黒田原駅から路線バス(関東自動車)がありますが、芦野方面は1日4本だけです。石の美術館、那須歴史探訪館まで約15分、芦野仲町下車です。

鉄分おおめの私は、これで行ってきましたよ!
行き:黒磯11:53→JR東北本線→黒田原12:02・黒田原駅12:15→バス→芦野仲町12:26
帰り:白井入口15:38→バス→黒田原駅15:50・黒田原16:02→JR東北本線→黒磯16:10

黒田原駅チカ

黒田原駅から徒歩3分くらいのところに100年以上続く日野屋麹製造元があります。

栃木県産の米麹や麦麹、大豆で造られた味噌、納豆、醤油に加えて、たまりに漬けたチーズや揚煎餅など、いろんな発酵食品が並んでいます。味噌づくりをして預けておくと、1年後にできあがった味噌が受け取れます。

日野屋麹製造元(那須・栃木)

春夏は庭と畑で雑草に追われる日々。
その合間をぬって日帰りか一泊くらいの鉄道旅。

グラウンドカバーにクラピアを育て、畑は小さな家庭菜園。
一人で快適に暮らす方法なんかも考えています。
自己紹介

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<参考>
*1.隈研吾著『建築家になりたい君へ』河出書房新書、2021年
*2.隈研吾著『建築家、走る』新潮社、平成27年
*3.宮沢洋画・文『隈研吾建築図鑑』日経BP、2021年

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