庭と家庭菜園(畑)の手入れを一人で行っているため、草取りが追いつかず、気温が上がるにつれて雑草がますます勢いを増してきます。両方の草取りを手作業で行うおうとすると、庭か畑のどちらかが手抜きになってしまい、“草ぼうぼう”状態になってしまいます。
この雑草の無限ループから抜け出すために、庭では除草剤を使うことにしました。
数年間にわたってトライ&エラーを繰り返した経験から、後悔しない雑草対策をご紹介します。
除草剤を知ろう
除草剤の大きな区分を知るだけで、雑草対策の効率がぐっと上がります。
除草剤の種類①
除草剤には、「葉に使う」茎葉処理剤と「土に使う」土壌処理剤の2つがあります。
さらに、両方の効果を兼ね備えたハイブリッド型(茎葉兼土壌処理剤)もあります。
茎葉処理剤
すでに伸びている葉や茎に散布することで雑草を枯らします。
茎葉処理剤の多くは液体タイプです。
雑草に直接をかけた薬剤が葉→茎→根と浸透していき、雑草が枯れていきます。
雑草を枯らした後の薬剤は分解されてしまうため、長期的に雑草が生えなくなるわけではありません。
よく知られている茎葉処理剤にラウンドアップマックスロード(グリホサート)があります。
茎葉処理剤には、どんな植物でも枯らす非選択性と、特定の植物にかかっても平気な選択性があります。
土壌処理剤
土の表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後の雑草を枯死させます。
雑草が生えるのを抑える目的で使用します。
土壌処理剤の多くは粒状タイプです。
土がもっている湿気で粒が徐々に溶け出して、土壌の表面に近い部分に処理層をつくります。この処理層が雑草の発芽や根の生長を阻害することで、雑草が生えるのを防ぎます。
私は夏に生長するイネ科雑草を抑えるために、春先にカソロン粒剤を撒いています。カソロン粒剤を撒いたところは目に見えて雑草が生えてこないので、めちゃくちゃ効果はあります。
冬から春は乾燥している日が多いので撒くタイミングを見計らうのがやや大変ですが、いまや欠かせない除草剤です。撒いた後に酸性の土壌を好むゼニゴケが生えてこないのもよいです。
除草剤の種類②
すでに伸びている雑草を枯らす茎葉処理剤には、非選択性と選択性があります。
非選択性除草剤
どんな植物でも枯らす除草剤です。
薬剤がかかると雑草以外の植物も枯らしてしまうので、使用する際は注意が必要です。
選択性除草剤
特定の植物にかかっても平気なようにつくられた除草剤です。
イネ科雑草に効果を発揮するピンポイントの作用機構をもつナブ乳剤やホーネスト乳剤がよく知られています。(ナブ乳剤、ホーネスト乳剤ともにアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)阻害)
庭のグラウンドカバーとしてクラピアを育てていますが、夏にはイネ科の雑草が生えてきます。節から根を出しながら伸びていくメヒシバのようなイネ科の雑草は強敵で、手作業では除草し切れません。
イネ科に効果があるナブ乳剤を使うことで、雑草ストレスからかなり解放されました。
除草剤は撒くタイミングが大事
除草剤を撒くときは天気の見極めが大切です。
散布に適さない日に撒くと効果が得られないばかりか、害をひき起こすこともあります。
茎葉処理剤 天気のよい風のない日(液剤の場合)
葉に薬剤が付着しやすい晴天の日が散布に最適です。
濡れていると葉や茎に薬剤が付着しにくくなり、十分な効果が得られません。また、風が強いと散布した薬剤が風で流れて他の植物にかかったり、近所に飛散してしまうことがあるので、散布するのは避けます。
気温が上がってくると植物は葉温を下げるために、盛んに水分を蒸散させるようになります。このため、薬剤の吸収が鈍ります。
散布後に雨が降ると吸収されずに流されてしまい効果が落ちる場合がありますので、晴れが続く日の散布が確実です。「散布後〇時間経てば、その後雨が降っても大丈夫」と書かれた除草剤もあります。
茎葉処理剤は、雑草が生長する春から夏までの間に数回にわけて使用します。
土壌処理剤 雨が降った翌日の午前中(粒剤の場合)
雨が降った翌日など、土が湿り気を帯びているときが散布に最適です。
土の湿り気で薬剤が溶けて、処理層をつくりやすくなり、効果が早くあらわれます。
土が乾燥していると薬剤にムラができてしまうため、十分な効果が得られません。
風が強い日に散布すると風で薬剤が流れて無駄になることがあります。また、雨で薬剤が流れてしまうことがあるため、大雨の前日の散布も避けたほうが賢明です。
土壌処理剤の散布に最適な季節は雑草が生えはじめる春先です。
雑草が枯れはじめる秋頃に使うと翌年の雑草を抑えることができます。
<参考>
*1.『今さら聞けない 除草剤の話 きほんのき』農文協、2021年
**2.神津博監『かんたん!らくらく!草取りのコツ』ナツメ社、2023年