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余ったタネどうする?野菜のタネを来シーズンもまきたい!

余ったタネどうする?野菜のタネを来シーズンもまきたい!

余ったタネがもったいない!
いろんな野菜を少しずつ育てたいと思うと、つい複数のタネを購入しがちです。その結果、タネが余ってしまいます。
ダイコンやカブの余ったタネは畑の片隅にまいて、早めに収穫して青菜として食べることもできますが、野菜のタネを次のシーズンまで保存する方法はあるのでしょうか。

その答えは「ある」です。
冷蔵庫で保存したダイコンのタネをまいてみたところ、無事に芽がでて生長しています

タネには寿命がある

タネには発芽能力を維持できる期間=寿命があります。
市販されているタネには有効期限が表示されています。

タネの有効期限と発芽率


『図解でよくわかる タネ・苗のきほん』には、発芽検定試験日から1年を有効期限としていることが多いと書かれています。さらに、有効期限を過ぎたタネが発芽しないわけではないともあります。

タネは発芽のピークを経て徐々に衰退していきますが、保存状態によっては寿命をのばすこともできます。

寿命の長さによって3つに分類

寿命の長さによって1.長命種子、2.常命種子、3.短命種子の3つに分けられます。

タネの寿命は種類によって常に一定しているわけではなく、採種されたときの環境、タネの熟し方、水分含有量、保存状態などの要因によって、タネの寿命は左右されます。

長命種子4~6年
(それ以上)
トマト、ナス、スイカ
常命種子やや長命3~4年ダイコン、カブ、ハクサイ、ツケナ、キュウリ、カボチャ
やや短命2~3年キャベツ、レタス、ホウレンソウ、ゴボウ、トウガラシ、エンドウ、インゲンマメ、ソラマメ
短命種子1~2年シソ、エダマメ、スイートコーン
*種子の乾燥程度や保存状態で寿命は変わる。低温冷蔵が保存の基本。(資料:日本種苗協会「種苗読本」他)
日本種苗協会監『図解でよくわかる タネ・苗のきほん』誠文堂新光社、2017年

ネギ、タマネギ、ニンジン、ミツバ、ラッカセイも短命種子のようです。*2

また、種子の発芽を促したり、発芽のタイミングを揃える加工(プライミング処理*)を行ったタネは劣化するのが早いので、有効期限内に使い切ったほうがよさそうです。
*タネに発芽しない程度の水分をあたえ、タネの内部代謝活動を人工的に進めたタネです。

タネの発芽には水分と酸素と温度が必要だが(レタスなど光が必要なタネもある)、発芽にいたるまでには段階がある。(中略)
プライミング種子は水分を少しだけ吸わせて、発根の一歩手前の状態で留めてある。すでに発芽のスイッチが入っているので、新たな水と温度が加われば、最初の吸水段階をすっ飛ばして発根、発芽にいたるというわけだ。

『今さら聞けない タネと品種の話 きほんのき』農文協、2020年

タネの寿命に影響する3つの要因

タネの寿命に影響する要因は次の3つです。

  1. 完熟前の障害
    タネが成熟する前の環境(気温・湿度)によって、成熟が妨げられ、発芽力と寿命が低下する。
  2. 収穫・調製作業の適否
    タネを収穫して、調製(刈取り、脱穀、精選、乾燥など)の作業でタネが破損して、寿命が低下する。
  3. 貯蔵中のタネの環境条件
    貯蔵中の環境はタネの活力と寿命に影響をあたえる。
    なかでも重要なのは空気の相対湿度**と温度の2つです。
    **天気予報で使われる湿度と同じ意味です。

タネの寿命が低下するのを防ぐためにできることは、適切な相対湿度と温度の環境での保存ですね。

タネの寿命を保つには?

相対湿度が低いほどタネの活力の低下を遅らせることができ、温度も低いほど寿命が長くなる傾向があります。冷蔵室と冷凍室はタネの保存に最適な環境といえます。これなら家庭でもできます。

冷蔵室…タネの保存に最適

湿度30%程度・室温1~5℃の冷蔵室(野菜室を除く)はタネの保存場所として適しています。
この湿度と温度で保存すれば、短命種子のネギやタマネギの寿命ものばせます。

冷蔵庫は乾燥しているため、湿気を通す紙袋がベスト。私は茶封筒に品種名と採種年を記載してタネを入れています。

「タネと保存と発芽率の話」、『今さら聞けない タネと品種の話 きほんのき』農文協、2020年
年間60品種以上を自家採種している千葉の有機農家のタネ保存のコツです。

冷凍室…長期保存向き

長期保存するなら冷凍室がよいとされています。
種子内の水分が氷になってタネを傷めることがないように、タネが十分に乾燥していることが条件となります。冷凍する際は、冷蔵室で1~2日経過させることもポイントです。

冷凍庫の場合、タネはビンや缶に入れて保存します。(中略)タネと未使用の乾燥剤を入れ、おせんべいの缶のようにビニールテープを巻いてフタとの隙間を塞ぎます。

「タネと保存と発芽率の話」、『今さら聞けない タネと品種の話 きほんのき』農文協、2020年
年間60品種以上を自家採種している千葉の有機農家のタネ保存のコツです。

野菜室は60~95%の高湿度に維持されているので、タネの保存には向きません。

タネが発芽するか試す

前の年のタネを使用する場合は、タネまきの前に発芽能力を確認します。

水で湿らせた布か綿の上にタネを10~20粒ほど並べて新聞紙などをふんわりかけ、数日後に発芽率を確認します。
発芽率が低いときは、新しいタネを購入します。

家庭菜園で育てている野菜のうち、多くの種類が来シーズンも使えることがわかります。

冷蔵庫で保管するという簡単な方法でタネの寿命をのばすことができるのなら、いろんな野菜のタネの寿命がのばせそうです。タネを早めに&多めにまけば、事前に発芽力を試さなくてもイケるのでは?とアマチュアならではの手抜きも…。

春夏は庭と畑で雑草に追われる日々。
その合間をぬって日帰りか一泊くらいの鉄道旅。

グラウンドカバーにクラピアを育て、畑は小さな家庭菜園。
一人で快適に暮らす方法なんかも考えています。
自己紹介

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<参考>
*1.日本種苗協会監『図解でよくわかる タネ・苗のきほん』誠文堂新光社、2017年
*2.農文協編『今さら聞けない タネと品種の話 きほんのき』農文協、2020年
*3.ウェザーニュース「絶対湿度と相対湿度の違いとは」https://weathernews.jp/s/topics/202002/280095/
*4.日本種苗協会編『新・種苗読本』農文協、2018年

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