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軽井沢美術館めぐり旅-安東美術館(軽井沢)

軽井沢美術館めぐり旅-安東美術館(軽井沢)

美術館をめぐる旅、セゾン現代美術館脇田美術館に続き、最後に向かうのは安東美術館です。

安東美術館は個人コレクターが収蔵した藤田嗣治ふじたつぐはるの作品を展示する私設の美術館です。
藤田はピカソとマティスが活躍したエコール・ド・パリ(パリ派)を代表する画家で、女性と猫を多く描きました。

脇田美術館でどしゃぶりの雨に降りこめられてしまい、安東美術館に着いたのは16時ころ。閉館まで約1時間、駆け足で作品をみてきました。

軽井沢安東美術館-藤田嗣治の“かわいい”少女と猫

安東美術館は、安東氏が自身の邸宅で楽しむために約20年にわたって収集した藤田嗣治の作品を展示する美術館で、2022年秋にオープンしました。

収集をはじめた契機や美術館設立までの経緯は館内で詳しく知ることができますが、『藤田嗣治 安東コレクションの輝き』では次のように紹介されています。

その始まりは、“かわいい”だったという。散歩の途中に偶然ギャラリーで出会った一枚の版画。そこに描かれた猫に対して直感的に覚えたシンパシーは、猫の絵、少女の絵、そして猫を抱いた少女の絵を蒐める情熱へと安東氏を駆り立てた。(中略)

投資ファンド会社の経営者として、日々、厳しい金融の世界に身を投じている安東氏にとって、夫婦で藤田の“かわいい”絵たちと向き合う時間は、この上ない癒しとなったという。

水野昌美「“かわいい”から始まった美術館建設への道」、『藤田嗣治 安東コレクションの輝き』世界文化社、2022年

収集した作品に囲まれて時間を過ごすうちに、自身が亡くなった後のことに思いをめぐらすようになり、美術館を開設したいという想いがふくらんでいったといいます。

個人の邸宅をイメージした館内には、ウェイティングスペースを思わせるサロンがあります。
藤田の生涯や作品を解説する動画が流れ、入館者はこの部屋でひと呼吸してから展示室に向かいます。一般的な美術館とは異なるユニークな動線です。

軽井沢安東美術館(軽井沢)

展示室は、赤や緑など印象的な色に包まれています。
渡仏直後の作品にはじまり、さまざまな表情の少女や猫たち。さらに日本には戻らない決意をする契機となった戦争画。キリスト教に改宗した晩年に描いた聖女や聖母子像まで、数多くの作品があります。

軽井沢安東美術館(軽井沢)
軽井沢安東美術館(軽井沢)

展示された作品には猫と少女を描いた作品が多く、藤田の描く“かわいい”に魅了されて、次々と収集していった様子が想像できます。自宅の壁に掛け、そこで過ごす時間を愉しむために収集される作品は、おのずと小品が多くなっていったのでしょう。

私が藤田に関心をもつ契機となった《アンナ・ド・ノアイユの肖像》がもつ不思議な雰囲気、秋田県美でみた《秋田の行事》や沖縄の人々を描いた油彩画の土着的な力強さとは異なる、安東氏が“かわいい”と感じた、少女や猫の姿がそこにはありました。

藤田嗣治を知らなくても、“かわいい”には共感できる人なら楽しい時間がきっと過ごせます。

オープン当時すでに180点を超える作品を所蔵していたという安東美術館。滞在時間がわずか1時間だったのは、たいへん惜しかった!
カフェも併設されているので、次は時間に余裕をもって訪ねたいと思います。

軽井沢の美術館をめぐる旅はこれで終了です。
デリシア軽井沢と軽井沢書店にも立ち寄る予定だったのですが、にわか雨のせいで軽井沢駅に直行となりました。
▷自転車が気持ちいい!軽井沢を3時間でめぐる旅(軽井沢)
▷冬のはじまりに中軽井沢を歩く旅(軽井沢)

軽井沢に行く(東京からのアクセス)

JR在来線を使う場合は、横川駅(群馬)でバスに乗り換えます。

  1. 東京駅→北陸新幹線→軽井沢駅[1時間~1時間20分]
  2. 池袋駅→高速バス(西武観光バス)→軽井沢駅[約3時間]
  3. 上野駅→JR高崎線→高崎駅(乗り換え)→JR信越本線→横川駅(乗り換え)→バス(JRバス関東)→軽井沢駅[約3時間]

春夏は庭と畑で雑草に追われる日々。
その合間をぬって日帰りか一泊くらいの鉄道旅。

グラウンドカバーにクラピアを育て、畑は小さな家庭菜園。
一人で快適に暮らす方法なんかも考えています。
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